街なかかわらばん佐賀

街で自分らしく暮らす人㉝(神代 宜彦さん)

2021年9月14日


神代 宜彦さん

神代 宜彦さん

神代 宜彦さん
クマシロ眼鏡店 店主

佐賀の地で感謝の気持ちを持ちながら商売を続けていく

 
-お店はどんなスタイルの眼鏡店ですか?

当店は明治元年創業で、私で五代目になる眼鏡店です。海外の展示会にも足を運び、大量生産品ではないデザインや機能性に優れた眼鏡、デザイン性に富んだものから定番ものまで、幅広く世界を舞台に活躍しているブランドを中心に置くようにしています。あと長くメンテナンスしながら使えるというのも大事ですね。そんな一本を、お客様といろいろな話をしながらご提案しています。ありがたいことに、何代にもわたって通ってくださるお客様も多いです。
 
-海外の製品に目を向けるようになったきっかけは?

以前東京でアパレル関係の仕事に携わっていたことが大きいですね。その繋がりで当時は普段から六本木など国際色豊かな場所に出入りすることが多く、そこでいろんな国の人達のファッションや考え、アイデンティティと触れ、もちろん様々なデザインの眼鏡やサングラスをかけている人達との出会いもありました。当時は今ほどインターネットが普及している時代ではなかったので、佐賀にいてはわからないことだらけだったと思います。このことは非常によい経験になりました。

 
― そういう経験がお店の方向性に大きく影響したわけですね。

はい。ただし私がお店を継いだときに、まずは先代が仕入れを完全に任せてくれたのが大きかったですね。今考えると、当時の私は経験が浅かったにもかかわらずよく任せてくれたなあと思います。そういう点では先代の社長に大きく感謝しています。
 
そして眼鏡の機能性や加工技術など、先代達が今まで積み重ねてこられたものを大事にしつつも、従来の問屋ベースに縛られない、新しい仕入先の開拓に努めてきました。問屋さんからだけだとどの店も似た品揃えになってしまいますし、眼鏡も時代やファッション、個人の趣味嗜好で変わっていくものですしね。例えば眼鏡の本場はヨーロッパなのですが、最初はフランスにゆかりのあるバイヤーさんと東京で知り合いになったり、自分が気に入ったヨーロッパブランドを調べて少しずつ繋がりを作ったりしながら取引を増やしていきました。また国内では日本の眼鏡の9割ぐらいが福井県の鯖江で生産されていることもあって、その中でも特にオリジナリティがある商品を扱っている会社と取引してきました。昔の日本ではヨーロッパと違って「眼鏡をデザインする」という考えが今ほどなく、単に「作る」というスタンスが主流でしたが、時代とともに徐々に「メガネのデザイナー」という人達が生まれ、その分野のパイオニアと知り合う機会もでき、いろいろなことを教わりました。

このように国内外の眼鏡の産地と繋がることで、ヨーロッパの最新事情や日本で特に頑張っている人達の情報を得られるようになり、お店の方向性を確立できたのです。
 
―ホームページにある「ココロの眼を大切に」とは?

例えば、ある日視力が非常に悪いお客様がご来店されて、その方に眼鏡をお選びしたときの話です。私自身が何を基準におすすめしたらよいか、そしてお客様ご自身もどう選んだらよいか、それをいらっしゃるたびに一緒に考えていたのですが、その接客の時に大事だと思ったのが、「ココロ」なんです。正直「ココロ」がどこにあるかは今もわからないのですが、眼鏡を選ぶ際に一番いいものを選ぶという「お互いの気持ち」が大事なんだと思いました。もちろん眼鏡をかけたからといってそのお客様の裸眼視力が回復するわけではないのですが、購入されたあとに「周りの人達からよく似合ってると言われます。気持ちが明るくなって毎日が楽しくなりました!」というお声をいただけた時は、すごく嬉しい気持ちになりました。「やっぱり眼鏡って人の「ココロ」を明るくできる力があるんだな」、「メガネって顔の一部であり、その人のことを印象づけるものなんだな」と実感したのです。このように、日々お客様の「ココロ」を意識した接客をしています。
 
―眼鏡店としては全国でも有数の老舗。長く続く秘訣は?

単に眼鏡を販売するだけではなく、地元佐賀の人達と仲良くなり、長く愛していただけるように普段から行動することだと思います。例えばこれは心の問題なのですが、私は佐嘉神社や八幡神社でよくお参りをします。これは昔から祖父母などが続けてきた習慣で、私もこの土地で商売をさせてもらっていることへの感謝の気持ちを持ちながら続けています。あとお客様との関係としては、例えば二代に渡って来店していただいているお客様もたくさんいらっしゃいますし、全く初めての方もいらっしゃいます。ただ私はお得意様だから特別というのではなく、来ていただいたお客様には平等に、同じように接することを心がけています。
 
―佐賀の街で商売を続けていくにあたっての思いや願い

佐賀駅から県庁までの中央大通りというのは、やはりメインストリートなので大事だと思います。物件の所有者さんにも新しいアイデアを持った方が出てくることで、若い人が商売や会社を始めやすい環境が整えばいいですね。うちのお店も賃貸物件なので、家賃を払っていく大変さはわかっています。でも若い人にも是非頑張っていただいて、中央大通りだけじゃなく佐賀の街なか全体がもっと良くなっていけばなあと思います。最近では呉服元町あたりがすごく素敵なエリアになってきているように、良いお店ができると人は歩くようになるはずです。よく街なかは駐車場がないと言われますが、個性や特徴があるお店が増えれば、駐車場代を払ってでも街に来ていただけるのではないかと思いますよ!
 
[INFORMATION]
クマシロ眼鏡店
☎0952-23-4278
●佐賀市駅南本町3-23
●営業時間/10:00〜19:00
●定休日/毎月第一火曜
●駐車場/なし
https://kumashirooptique.net/
 
(PROFILE)
佐賀市出身。呉服元町の老舗眼鏡店にて生まれ育つ。高校卒業後に上京し、専門学校を経てそのまま東京でファッション関係の仕事に従事。その後佐賀の中心市街地でエスプラッツの開業計画が持ち上がった際、実家の眼鏡店の今後を考えて帰佐し、五代目としてお店を継ぐことに。そして1998年に店舗が現在の場所(佐賀駅南)に移転して、現在に至る。眼鏡店としては、全国有数の古い歴史がある老舗店舗である。
 

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市民ライタープロフィール

氏名:庄野 雄輔

街なかの愛の伝道師&街なかかわらばん佐賀の編集長

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