街なかかわらばん佐賀

佐賀の街なかで自分らしく暮らす人㉚(池田 眞由美さん)

2021年3月13日


池田さん

池田さん

ラジオの一コマ

ラジオの一コマ

池田 眞由美さん
㈱コミュニティジャーナル 〔えびすFM〕
 代表取締役 

頑張ろうとする人達を
応援し、ラジオを通して
元気にしたい。

 
-コミュニティFMを開設したきっかけは?

もともと、唐津や北九州のケーブルテレビの会社に28年間いました。ケーブルテレビ一筋でした。独立した理由は二つあって、一つ目は長くいた北九州の会社が合併によって大きくなりすぎたこと。私としては小さな組織がやりやすかったんです。そして、もう一つは40歳のときに小倉でマンションを買っていたのですが、そのまま小倉で人生を終えるのは違うなと感じたことです。そんなことを考えているとき、地元の佐賀を32年ぶりに思い出したんです。そして早速GWを使って佐賀の街なかへいざ足を運んでみると…。商店街が寂れている。「小倉は私がいなくても大丈夫だけど、佐賀は私を必要としている」と思ってしまいました。これが開局する2年前のことです。そんな話を小倉のコミュニティFMの社長と話していたら「池田さん、コミュニティFMを佐賀に作ってみたら? 47都道府県で佐賀と栃木だけないんよ(当時)」と言われたんです。ラジオには興味がありませんでしたが、ただ私が人生でやり残したことは何か? そして、元々ケーブルテレビでやりたかったこととは何か?を考えたとき、それは「市民が情報発信するメディアを作ること」ということに気づかされたのです。
 
-開設すると決めてからは…

コミュニティFMを開設するにあたっては、まず発起人会を作って会議を重ね、同時に株主を集める動きをしました。当時は佐賀で同級生以外何の人脈もなかったので、呉服元町にカフェをオープンし、そこで人脈をつくっていくことにしたんですが、今振り返えるとそれが正解でした。今しゃべっている人、繋がっている人の多くは、その当時カフェに来た人達なんです。改めて人と人が繋がれる場所ってすごくいいなあって感じています。ただその後、東日本大震災が発生して木造では不安な面が多々あると感じたので、鉄筋コンクリートの建物を探し、今の場所で開設することになりました。
 
― コミュニティFMが街なかにあることの意義とは?

それはやっぱり「人が集まる場」になれること。会社として「人と人をつなぐ」をコンセプトにしており、ここで人と人が出会い、何かやろうと思っている人が頑張ろうと思える応援をしています。例えば、街でイベントをしようとしている人がいて、お金がないから告知も難しいという場合に、そういう方々を応援することで一人一人が元気になり、点と点が繋がり線や面となり、そしてNPOを作ったりして元気になっていくみたいな…。そういう動きを作ることが目的なんです。
「メディアは誰のもの?」 
それが、メディアの仕事に携わってきた私の長年のテーマでした。「街が良くなる、地域がよくなる」というのが、ここで暮らしていくみなさんの共通の願いであり、地域メディアの役割です。だからこそ、えびすFMがないとダメだね、地域に必要なメディアだと言われるぐらいの存在にならないといけないのです。
 
― 社会的課題を解決する事業、そして事業継続について

具体的にはイベントではなく、本当に困っている人がいる事業、例えば、お年寄りたちと若者を繋げていくとか、子育てママに必要な情報サイトをつくるとか、中山間地域のお困りごとを解決するためにボランティアしたい企業団体とマッチングするお手伝いをするとか、地域の課題解決に繋がる事業を行ってきました。そして最近はラジオ局に併設してコワーキングスペースを作りました。目的は、県外から来た人達から「佐賀の街なかには、ふらっと立寄ってパソコンを開き仕事できるようなところがない」という声があり、この課題を解決するため。もちろん、会社としては県外から佐賀へ来た人と出会い、そこで新たなビジネスを創出するという目的もあります。
 

そして、個人的には、佐賀市の旧老舗旅館「松川屋」を活用するための市民団体「松川屋を核とした新馬場通りの活性化実行委員会(略称:松川屋再生プロジェクト)」の立ち上げです。2年位前に建物の中を見学する機会があり、非常に綺麗な状態で残されていたので、閉めたままにしておくよりも活用したほうが良いと呼びかけ、10人ほどの有志で始めました。この活動は、松川屋をこうしていこう! という明確な目指すべき像があるわけではなく、日々の暮らしの中に、新馬場通りの松川屋というのがあって、ここを核に人の交流や様々な活動を創出し、それを守り続けていけるきっかけにしていければと考えています。だから、地域の方や学生さん等と一緒にDIYも進めていますし、現にその他の動きも活発になってきています。
 

ただ、いろんな事業の継続をするためには、「運営資金をどうやって稼いでいくか」が重要な課題です。松川屋再生プロジェクトでは、クラウドファンディングも活用しましたが、ラジオ局自体では、やはり広告が必要です。ラジオを通して頑張ろうとする人達を元気にしたいという想い。そして、たった一人のためでもいい、想いを伝えることができるメディアでありたい。そういう思いに共感していただける企業様に広告を出していただいています。
 
― これからのコミュニティFMについて

ラジオ番組にしろ、新規事業にしろ、やりたいと思う人にしゃべってもらいたいし、事業も一緒にやっていきたい。やりたくないのに無理にやらせても意味がないので。そして毎年、課題は変わってきます。まずはやってみて、だめだったらやめればいい。うまくいきそうだったら続ければいい。そういった考えがベースにありながら、「人が集まる場」として、コミュニティFMのあるべき姿、未来を築いていきたいと思います。
(聞き手:庄野 雄輔) 
 
[INFORMATION]
えびすFM
☎︎0952-97-9699
●佐賀市白山2丁目7-1エスプラッツ1F
https://ebisufm.com/

 

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市民ライタープロフィール

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氏名:庄野 雄輔

街なかの愛の伝道師&街なかかわらばん佐賀の編集長

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