街なかかわらばん佐賀

佐賀の街なかで自分らしく暮らす人㉖(江口 裕太さん)

2020年7月13日


江口 裕太さん
イタリア酒場 キングキッチン 代表
 
街を盛り上げていくことが、結果として店の繁栄にも繋がっていく

 
-飲食店経営や音楽イベントを通じて得られたことは?

元々飲食店をやりたかった、事業主になりたかったという想いは全くなくて、音楽イベントや街おこし的なことをしていたら、いろんな人と知り合って自然と今の自分になったという感じです。どういうことかというと、まず音楽イベントですが、毎回、開催日の一日でその事業収支をプラスにしなければなりません。つまり店舗経営でいう「日次決算」をプラスにしながら、20年間それを続けてきたわけです。もちろん、プラスにするためにはお客さんに対して何をしたらいいのか? どういう出店者が喜ばれるのか? 満足度・サービスをいかにしてあげるか? 毎回消費者のニーズを読み、探り、企画をしてきました。ただこういった経験が今回のテイクアウト・宅配サイト「トリモテ」の立ち上げや、弁当直売所に繋がっているのではないかと思います。(トリモテは佐賀商工会議所青年部としての事業)
 
-「トリモテ」をスタートさせようと思ったきっかけは?

コロナ禍が原因で、街なかの飲食店にお客さんがこない・・。まず何よりも固定費(家賃、電気、ガス、水道、人件費など)をどう捻出しようかと思った時、横須賀の商工会議所の「ヨコスカイチバン」というサイトの中で、飲食店会員のテイクアウト情報がたくさん紹介されているのを見かけたんです。そこで佐賀でもできないかなと話をしていたところ、WEBデザインをやっている知人が「それ面白そうですね」と賛同してくれ、制作費なしでサイトのたたき台を作ってくれることに。その後私自身がLorretaとかKORNERなど、街なかの親しい飲食店10店舗ぐらいに声をかけてスタートしました。すると徐々にお店も増え、SNSで一気に発信をしていったら、サイトの閲覧数や問合せなど、思いの外反響がすごくて・・・。正直ここまで大ごとになるとは思ってなかったです。
 
また、このサイトを進めるにつれて、消費者のニーズは結構変わるもんだなと「改めて」実感もしました。だからプロジェクトのイメージとしては、4月はテイクアウトサイト、5月に直売所、6月からは店にお客さんが帰ってくるように段階的に企画を進めています。
 
6月からの企画は、題して「5,000円で応援プロジェクト」。これは5,000円(税込)で二時間飲み放題付、佐賀の食品と佐賀のお酒を楽しめるパーティプランだけの専用サイトの立ち上げなのですが、今後行政の方々や各経済団体さんが街の飲食店をより応援していただける状況になったとき、それにうまく対応できるようにするための企画です。
 
あと直売所に出店している店同士で新たな繋がりが生まれつつあることは嬉しいですね。今まではみんな知り合い同士ではあったけれど、各々が好き勝手に営業する状況が続いていました。でもそれだと業種配分を厳選して作ったショッピングモールが強いに決まっています。だからやっぱりエリアでまとまらないと。今回のような企画は、コロナ対策でもあるんですけど、街なかがまとまり、それをSNSで発信し、流れを作り、変化に柔軟に対応するよいきっかけになればと願っています。
 
-今試験的に進めているのが「まちなかイートイン構想」ですね。

はい。直売所があって、お昼はお弁当を店内でも食べてもいいですよーとしているのですが、まだ現状はそれほど街にお客さんが戻ってきているわけではありません。そこで、今まで(4月~5月)はテイクアウトを家で楽しむという方が多かったと思いますが、それを家庭の中だけで続けるのも経済的に大変ですし、あとそれだけではなく、例えば友達3,4人でテイクアウトご飯を食べられる場所として店を使ってもらうのもありかなーと考えるようになりました。あそこのピザも食べられて、焼き鳥も食べられてっていうのは結構楽しかったり、嬉しかったりするのかなと。要は「街なかのフードコート」です。今はまだ「それってどういうこと?」と不思議に思う人が多いでしょうし定着するまでは時間がかかるでしょうから、少しずつチャレンジで進めています。もちろん社会の状況や消費者のニーズを見ながらですね。
 
おそらく、最初に現状のテイクアウトのサイトが落ち着くと予想していて、今後は「トリモテ」という名前の由来の一つ「飲食店とお客さんの関係を“取り持つ”」から派生して、今までのテイクアウト情報だけでなく、企業間のやりとりなど、サイトの掲載情報に幅を持たせてもいいのかなと考えています。商工会議所にはいろいろな企業さんがいますしね。
 
-最後に。街で活動している若い人達へメッセージを!

今年で40歳になります。若い時はただイベントをやっていた兄ちゃんだった私が、野外フェスなどを通じて、国会議員の先生も集うような若手の経営者の集まりにも入れてもらえただけでなく、商工会議所青年部での活動など、いろいろな経験を積んでこれました。
 
今後は若い人達の間で「街でなんか面白いことをやっている存在」、「若者達と、行政との中間の存在」であることが大事になってくるのかなと思います。たとえば若くして飲食店を始めた人で補助金のことや様々な仕組みのことなど何も知らずに経営をしている子たちもいっぱいいるわけですが、そんな彼らも成長させてやれれば、よりまちづくりにも興味を持つでしょうし、そうやっていくことで周りに人が増えていけば、メディアや行政の方々などもより注目していただけると思います。みんながいい関係性でまちづくりに取り組むことで、ゆくゆくは自分の店の繁栄にも繋がってくるんじゃないかと。もちろん自分だってまだ学んでいる段階ですけど、先輩から受け継いできたことを若い世代にも伝えていけるようなのが理想です。自分も先輩に怒られながら最近やっと大人になってきました。
(聞き手 庄野 雄輔)
 
[INFORMATION]
・テイクアウト・宅配サイト「トリモテ」
●HP/https://torimote.com/
・トリモテ直売所(イタリア酒場キングキッチン内個室)
●佐賀市白山2-7-1
※詳細はインスタでチェック!(@torimote.saga)
 

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市民ライタープロフィール

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氏名:庄野 雄輔

街なかの愛の伝道師&街なかかわらばん佐賀の編集長

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