街なかかわらばん佐賀

佐賀の街なかで自分らしく暮らす人㉕(髙尾 由美子さん)

2020年3月13日


髙尾 由美子さん
くらしの教室と服飾雑貨のおみせ
『ある晴れた日に』 代表
 
日々の生活を豊かにできる
いろんな人が集える場所へ

 
帆布バッグの人気ブランド「CUBIE」を展開している髙尾さん。2月16日に新しくご自身の店舗をオープンされました。しかもバッグ販売に加えて新たな試みもいくつかスタート。今回は店のことや街との関わりについて話を伺いました。
 
-元々は東京でスタイリストを目指されていたそうですね。

はい。高校卒業まで福富町(現在は白石町福富)で育ち、その後東京へ。専門学校でファッションビジネスの勉強をしました。私はとにかくスタイリストになりたくて、在学中に働けるスタイリスト事務所を探してかたっぱしから電話をかけていたら、そのうちある方から「学校をやめて仕事に専念できるなら、アシスタントにしてもいいわよ」と話を頂けました。それが後々まで私の師匠ともいえる方との運命の出会いです。その後数年働いて事務所は辞めたのですが、ファッション関係の仕事がしたいという思いはずっとあって、たぶんそれ以外の仕事は無理だなと考えつつ、26歳の時に実家へ戻ったんです。
 
実家はものづくりが日常にある環境で、例えばうちの母は洋裁師なので家には昔から洋裁部屋がありました。「こういう服が欲しいなあ」と思ったら母がすぐ洋服を作ってくれましたし、いろいろな生地が家にあって、欲しいものがあったら自分でも作るという家でした。それと、最近思い出したんですが、帆布のバッグを最初に作ったのは、高校三年生のときで、その後も高校時代にはいろいろ作っていました。でも専門学校のときやスタイリストの仕事をしていたときは、実はほとんど何も作っていなかったんです。仕事では、スタイリストの師匠が「料理の鉄人」とか「ハンマープライス」等の番組に携わっていた方で、その師匠の指示の元、木梨憲武さんが被っていた帽子を縫うとか、鹿賀さんのマントに装飾を施したりとかをしていました。スタイリストは「見せ方」を作り上げる、プロデュースしていく仕事ですから、そのアシスタントですね!
 
-再び帆布のバッグを作り、販売するようになった契機は?

やはり結婚かなと思います。結婚してすぐ子どもが産まれて…。そうするとやっぱり普通には働けないんですよ。でも私は外に出て話していたい、動いていないと駄目な人間なので、家にいると気が滅入ってきたんです。私がそんな状態だったので、実家の母から「アスパラ農園の手伝いに来なさい、子どもも連れてきていいから」と言われました。そういう流れで実家に戻ると、もちろん家には洋裁部屋がまだあるわけです。農作業といっても一日中ずっとやっているわけではないので、空いた時間に何かしら作っていました。ただ「何か作りたい!」「これを作るのが好きで!」という強い思いからではなく、「そこにミシンがあるから作る」みたいな。何も考えずにそれが自然だったんです。その後しばらくしてから、ママ友さんからマルシェみたいなのに誘われたんですよ。最初は「お店なんてできるかな? 」「自分が作ったものをお金を出して買っていただくなんて!」と恐縮しましたが、「これが商売になるんだったら、私が好きなことで人も喜んでくれて、子育てしながらでもできる! 本格的にやってみたいなあ」と思うようになりました。
 
そんな頃、あるお友達から「赤いバッグを作って欲しい」という依頼がきたんです。ちょっとしたお出かけに使えるような…。それで素材は何で作ろうかなって考えたときに、革だと重いし、気軽な感じがしないし、そもそも改めて勉強しないといけないし…。やっぱり布、布がいいなあ。扱い慣れてるし。そんなとき、「あ、帆布だ!帆布がある」と思ったんです。今でいうとトートのSぐらいの赤いバッグを作り、これがすごく好評で…。これをきっかけとして帆布でバッグを作って売ってみようかなって思ったんです。それから子どもが小学校に入ると少し時間ができてもっと動けるようになり、初めてチャレンジしたグループ展では、なんと1週間で30近くのオーダーが入りました。この頃からですかね。なんとかして自分でつくったものでちゃんと利益が出るようにしていこう、お仕事にしていこうと決意したのは。その後2017年に知人の紹介で、柳町にある旧久富家の一角にクリエイティブ拠点を構えていた「incl」さんで、ものづくりをさせていただけることになったんです。
 
-そして2020年、県庁通りで新たな拠点をスタート。

私達世代の間では、「なかなか佐賀でお買い物できる場所って少ないよね」という話が話題に上ることがあり、もちろん福岡もいいんですが、そういう場所が日常にあるのがいいなって。そうすると街なかに来る理由もできて、一度駐車場に車を停めたら「他も回ってみようか!」となると思います。例えばシアターシエマは私にとってそんな存在。毎日忙しくてそう頻繁には行けないわけですけれど、たまたま時間ができてシエマに行こう!って思えることが私の心を豊かにしてくれるんです。そんな風に、まずはこの建物自体が訪れる理由になって、その後この通りに面白い何かができてきて、そして柳町や呉服元町とも面で繋がる…、そうするとまた賑わいが出てくるんじゃないかと思いますよ!(聞き手 庄野 雄輔)
 
[INFORMATION]
ある晴れた日に
☎0952-60-2628
●佐賀市松原1-3-15徳久ビル2A
●営業時間/11:00~18:00
●定休日/月曜・祝日
●インスタグラム@aru.haretahini
●Web https://aruharetahini.net/

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市民ライタープロフィール

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氏名:庄野 雄輔

街なかの愛の伝道師&街なかかわらばん佐賀の編集長

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