街なかかわらばん佐賀

佐賀の街なかで自分らしく暮らす人㉗(吉田 由美子さん)

2020年9月15日


吉田さん(リニューアルしたLive&bar 417にて撮影)

吉田さん(リニューアルしたLive&bar 417にて撮影)

リニューアル後の「RAG-G」の外観

リニューアル後の「RAG-G」の外観

リニューアル後の「RAG-G」の内観

リニューアル後の「RAG-G」の内観

吉田 由美子さん
㈲B-Shuffle 代表
 
街に音楽の灯を
消さないため
地元の人と一緒に
音楽を創っていく

 
ライブハウス経営や音楽イベントを通じて佐賀のミュージックシーンを陰で支えてきた吉田由美子さん。RAG-G、ROCKRIDE、417、Riff、YURAYURA、T-A STUDIO といったライブハウスやライブバーの名前を、耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。水害やコロナ禍で経営環境が大きく変化する中、街の音楽の灯を消さないためにライブハウスの大幅リニューアル等、様々なことに取り組んでらっしゃいます。
 
-今回リニューアルした経緯・内容について教えてください。

実は今年の5月、新型コロナウイルスの影響でライブハウスのROCKRIDEとYURAYURAを閉めました。ただROCKRIDEの閉鎖を決めたとき、多くのミュージシャン達が落ち込んでしまったんですよ。気合みたいなものが、一気にがくーんとですね・・・。そもそもROCKRIDEが思い出の場所だったと話す方もたくさんいて、あの店で友達になった人という方も多いんです。現在コロナ禍でライブハウスも全国的に大変な状況になっています。当社に関しては、ROCKRIDEは存続するであろうと思われている方が多かったのですが、そんな中閉鎖が決まり、心にぽっかりと穴が空いたという人がたくさんいて・・。だから『このままだと皆の音楽への思いが消えてしまいかねない』『音楽はもうこれからはダメだめかも…という空気になりかねない』と考え、残った店舗の中、二つのライブハウスの改装に踏み切ったわけです。
 

まず7月29日にリニューアルオープンさせたのが中央本町のLive&bar 417 です。ここでは天井の梁を今まで以上に強調させて、ステージを倍くらいに広めにし、新型コロナ対策として吊り下げ式のアクリル板を演者の前に設置しました。映像ではこの板はほぼ見えないので違和感はありません。機材もロックライドからも持ってきて、スピーカーを10個入れているので、この規模ではとても良い音がでますし、席は常設にしてなるべく間隔をあけて座っていただくようにしています。
 

そしてつい先日8月29日にリニューアルオープンさせたのが、松原にあるライブハウス「RAG-G」です。当初ここでは水害対策としてステージの高さだけを上げるという、軽微な工事をする予定でした。しかし新型コロナウイルスのこともあって、ライブハウスを明るく清潔感のある空間にするために、大規模に改修することに。「清潔で明るい、演奏の合間合間で窓を開けられるライブハウス」です。具体的には、以前から窓が南側にずらっと11か所設置してあり、音を漏らさないために防音材でふさいでいたのを、今回は全面的にオープンにしました。30分演奏したらいったん窓を全開にして換気をする、そして次の演奏をするという感じですね。あとは水害対策としてステージの床を初めとして、いろんな箇所を上げています。ただホールの床は構造上上げるのが無理だったのでそのままですが、まあ水が入ってもすぐひいてしまうので何とかなるかなと。当社は 配線などの問題もあり自分たちで図面も書きますし、10センチ単位で工事業者さんに要望をお出しします。その様なこともあり、対応していただいた工事業者さんに感謝しています。このように結果として数店舗を閉めることになってしまいましたが、今後のことを考えると、RAG-G と 417で時代にあった対策が打てたのではないかと思います。
 

ただしライブハウス自体は、正直今後まだどうなるかわからない状況が続くと思います。現在ユーチューブ上で「RAG-G チャンネル」という動画配信を始めていますが、やはり収益に結び付くまでは時間がかかります。今はどちらのライブハウスもリニューアルオープンしてはいますが、10月末までは無観客配信のみ。お客さんに登録してもらって、2,000円~のチケットを買ってもらってからの有料配信みたいなイメージですね。 しかしまだ通常のライブで行う「投げ銭」に近い仕組みはできていません。その二つが揃わないとなかなかプロは呼びにくいんですよね。プロの方は東京から来る人が多 く、現状の無観客配信ではなかなか経費を捻出できないので。そこは課題です
 
-今後RAG-Gと417をどういう場所にしていきたいですか?

うちの場合、たくさんのプロのミュージシャンにも来ていただくのですが、この場所で地元の人と一緒に音楽を創っていくというのが一番のポリシーです。地元のミュージシャンが活躍できる場をつくり、音楽好きがもっと楽しめるように、今までのネットワークや経験をいかしてプロミュージシャンと地元ミュージシャンをうまく引き合わせていきたいと思います。あと話は変わりますが、水害時の全国の皆さんからのご支援は非常にありがたかったです。だからこそ皆さんが音楽を楽しめる場所を絶対につぶしてはいけないと思ったので、より一層慎重になり新型コロナの影響を懸念して、3 月にすぐ休業しました。もしうちでクラスターが発生するとお客さんだけでなくミュージシャンやその家族など、多くの方から反対がでて、音楽活動ができなくなりますからね。いろいろと大変な時期ではありますが、やらなくてじっとしているのはいやなんです。最善の手をなるべく尽くす。ネガティブにならない思考を意識しています!(聞き手:庄野 雄輔) 

 
[INFORMATION]
RAG-G●佐賀市松原3丁目3-4
  
Live&bar 417●佐賀市中央本町7-11 2F

※問合せは☎0952-26-2687、ta_music_rag_g@yahoo.co.jp
 

▲リニューアル後の417の内観

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市民ライタープロフィール

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氏名:庄野 雄輔

街なかの愛の伝道師&街なかかわらばん佐賀の編集長

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