街なかかわらばん佐賀

佐賀出身者からの手紙(アラキマキヒコさん)

2014年7月30日


アラキマキヒコさん
ミュージシャン
 

「驚いた。なんと街に煙草の吸い殻一つ落ちていない」
 

僕は生まれも育ちも佐賀市です。住んだ所できちんと記憶があるのは高木瀬、水ケ江、本庄です。水ケ江では大隈記念館の裏に住んでいました。4歳の頃、大隈記念館の前で遊んでいて、お気に入りのペダルで走るパトカーを悪ガキに奪われたのを覚えています(笑)。また4、5年前でしょうか、久しぶりに佐賀に帰って来た時に街の様子がガラリと変わっていて驚きました。佐賀駅周辺の人の少なさ、そして静まり返ったアーケード。僕が知っている佐賀の街の姿は、すっかり変わっていました。母とよく買い物に出掛けた玉屋、よく土日のお昼に食べに行った松原神社前のラーメン屋、中学の時に初めてバンドリハーサルをしたABC楽器、アーケードの中にあった高柳楽器、小さい頃に家族で食べに行ったレストラン”ROYAL”があった辺りなど、人の姿がほとんど見当たらず、夏は銀天夜市で賑わったあの街の変わり果てた姿に、なんとも言えない寂しさを感じました。人間が私利私欲や便利さを追い求めて大切なものを無くしていく事が、特にこの時代の日本では目立って感じられ、この佐賀の変わり様もその一つのように僕の目には写りました。また30年ほど前に僕が住んでいた佐賀の街は、自転車で出かければ何でも手に入る街でした。
 

さて今はどうでしょう? 僕は住んでいないので細かい所はわかりませんが、極端に言えば車で出掛けないと何も出来ない街になっていませんか? 20年程前に東京からスタッフと共に仕事で佐賀に来た時は、東京出身のスタッフ達が口を揃えて佐賀の街はおしゃれな街で、食べ物も美味しく、素晴らしい街だと言い、とても誇らしく感じたことを覚えています。だからこそ今の姿は残念です。その内の一人は、駅周辺にブランド店が一軒一軒平屋で独立して並んでいる事に驚いていました。なんて素敵な街だろうとも言っていました。外部から来た人にとっても、駅の周辺が栄えていることはとても意味のあることだと思います。
 

そんな佐賀の街で、凄いと思った事が一つあります。「ゴミが落ちていない」のです。当たり前の様ですが業者が入っていたとしても、なかなかここまで綺麗な街はないと思います。コンビニエンスな時代になってますますマナーの悪さが目立つ都会に比べ、煙草の吸い殻一つ落ちていないという佐賀の街は本当に素晴らしいと感動しました。これはこれからも佐賀の方々には、是非とも続けていって欲しいと強く思います。あとはまた駅前に活気が戻れば、僕は胸を張って佐賀を自慢します。ただ田舎だというだけではない、住み良く美しい街佐賀を。
 

(Profile)
佐賀県佐賀市出身。1988年“荒木真樹彦”として『1999』でアーティスト・デビュー。シングル11枚、アルバム5枚をリリースし、他に類を見ない多重録音のアカペラなど、ボーカルやサウンドクリエイターとしての定評も高い。特にギタリストとしては、MAZDA “LANTIS”のCMで多くの有名ギタリストに影響を与えた。またデビュー以来、Char、ケミストリー、宇都宮隆、嵐、KinKi Kids、KAT-TUN、V6、郷ひろみ、田原俊彦、少年隊、観月ありさ等数々のアーティストに楽曲を提供しており、 全日空、TOYOTA、マツダ、ハウス食品等多くの印象的なCM作品も手がけてきた。その後 1997年に“リエ・スクランブル”としても『文句があるなら来なさい!』でヒットし、シングル4枚とアルバム1枚をリリース。そしてバンド“MeGAROPA(メガロッパ)”で2002年~06年まで活動し、アルバム2枚をリリースした。そして2008年~09年“エレキマキヒコバンド”で活動。ミニアルバム”NEW MAXICO”をリリース。2009年より再びソロ活動に戻り、活発にライブ活動を行う。そして2013年から俳優としても活動し、「アラキマキヒコ」と改名。映画『ウタカタノトキ』では主演を果たした。

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