街なかかわらばん佐賀

【エッセイ】県庁通りを紐解く

2020年11月13日


昭和30年頃の県庁通り。今の宝石店「太平社」付近(左写真は旅館あけぼの所蔵)。下の写真と見比べてみて

昭和30年頃の県庁通り。今の宝石店「太平社」付近(左写真は旅館あけぼの所蔵)。下の写真と見比べてみて

現代の県庁通り。宝石店「太平社」付近

現代の県庁通り。宝石店「太平社」付近

県庁通り全景

県庁通り全景

唐人町の土橋(中央橋交差点)から県庁へと続く道「県庁通り」。昭和40年頃に中央大通りが開通するまでは、この通りは佐賀市のメインストリートの一部でした。中の小路で旅館業を営む音成氏によると、通りのそばにある龍造寺八幡宮(通称:八幡神社)は、江戸時代においては現在の鳩森神社や高寺も敷地内にあるなど、境内が広範囲にわたっており、南側は現在の「八幡小路」辺りまでだったとのこと(八幡小路の名前の由縁もココ)。そして明治35年に明治天皇のご名代として小松宮殿下が来佐される前に土橋横に「御幸橋」が整備され、御幸橋通り(のちに県庁通りへ名称変更)も開通して唐人町から県庁までが一本に繋がりました。その後明治37年には佐賀馬鉄の「馬車軌道」も開通し、街は多くの来街者で賑わっていたようです。それから大正、昭和の時代は賑わいが続いていきます。

しかし、昭和後半から平成初め頃より全国的に中心市街地の衰退が目立つようになってきました。そのため全国でまちおこしの気運が高まり、もちろん県庁通りでも数々の企画が実施されることに。県庁通り商店連盟会長の岩瀬さん(大正末期創業の氷店、弁当販売店店主)によると、この通りで特に注目浴びたのは「八福猫団」という企画だそう。これはこの界隈に野良猫や飼い猫が多かったことに由来し、街のキャラクターとして八匹の猫を選定。「猫」を切り口に商店街にお客さんを呼び込んでいこうというものでした。具体的には団員である猫の紹介看板やカレンダー、猫ギャラリー、猫クッキーを作るなど、当時は全国からかなり注目を集めました(現在企画は終了)。他にも観光協会と共同で開催された「佐賀のお城下ナイトウォークツアー」や、各店店主を可愛いイラストやユーモラスな文章で紹介した「似顔絵看板」等も話題になりました(看板は現在も設置中)。

ただここ数年は各店主の高齢化も進み、組合として新しい企画が進んでいないのが現状。しかしそんな中、少しずつ個々のお店では出店や事業承継等の動きがあります。例えば数年前に「天ぷらなにわ」(以前松原で営業)、昨年に食堂「COROYA」(以前は松原で営業)が移転OPEN、そして帆布バッグ製造や様々な教室を行う「ある晴れた日に」の新OPEN、事業承継がなされて二代目店主が誕生したスポーツサイクル専門店「ツカサ」など。決して派手な動きではないですが、この界隈は新しい動きが少しずつ生まれています。「エリアとしての課題はたくさん。今はコロナのこともあって大変ですが、ゆくゆくは八幡神社を起点とした『門前町』として、賑わう通りにできればと思います」と岩瀬さんは語ります。

※土橋というのは現在の中央橋交差点付近のこと
※県庁通り商店連盟の加盟店数は45店舗(2020.10月末現在)


▲以前行われていた企画「八福猫団」の面々


▲似顔絵看板。これは木原鰻屋さんのもの


▲以前は松原神社近くにあった天ぷらさん


▲老舗の山田茶店。水引などもあります


▲サイクルショップの新店主と旧店主


▲逆向き恵比須。珍しく道路に背を向けて鎮座されています


▲旅館あけぼの。文化人に愛されてきた和風モダンの宿


▲八幡小路にある人気の和食居酒屋「やま根」

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