街なかかわらばん佐賀

【エッセイ】お散歩して出会った街なかの 職人的存在

2020年3月13日


※ 写真はイメージです。

※ 写真はイメージです。

よりによって「職人」という言葉から連想するものは、近付き難いイメージばかりです。職人気質、職人芸…。無愛想で厳しい、といった具合…。

2月のある日、子供と一緒に街なかを散歩した時のことです。県庁を背にして県庁通りを北上。松原川を見下ろすとゆらゆらメダカが泳いでいました。疲れた〜と早くも弱音を言う子供達ととぼとぼ歩いていると「美術材料」の看板の前にある”ちょっとひと休み”の張り紙が付いたベンチを発見。有り難くそこで休憩。ふと、店内の方へ目を向けると、様々な額縁の専門店のようで、職人のような出で立ちのオーナーが一人。そこへ若い女性が足早に店内に入るや否や、あっという間にビニール袋を提げて出て行きました。コンビニみたいと思ったのです。自分の知らない世界のことは敬遠しがちですが、きっとあの若い女性にとってこのお店は行きつけの大切な所なのでしょう。街なかを歩き出すと、私たちの周りには職人が溢れています。鍵屋さん、基盤屋さん、うなぎ屋さん、彼らも皆職人なのです。その後歩き疲れて「しるこ一平」に入店。艶やかにたっぷりとかかった餡の甘さが、疲れを癒して行くよう。帰り際、子供と一緒にお店の人に手を振ると、何度も深くお辞儀をして下さり、職人の言葉から連想するイメージは、もはや昔のことなのだと思い知りました。彼らはもっと密接に私たちのそばにいて、日々粛々と仕事に向き合っています。街に溶け込んでいる彼らに、私たちは気付かぬうちに触れていたのだろうと思ったのでした。

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市民ライタープロフィール

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氏名:大坪 美和

レトロ好き転勤族

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