街なかかわらばん佐賀

エスプラッツの南側、狭い路地を入って少し進むと紺色の大きな暖簾がかかるお店が見えます。よく見ると暖簾の隅に「K1」の文字。カウンターとテーブル席が数席のスッキリとした店内から「いらっしゃーい」と声がかかりました。店主の蒲原典子さんにお話を伺いました。この場所でのスタートは2025年6月からというフレッシュなお店ですが、近くで長年飲食店をされていたそうです。常連の方も多く、実際に私が伺った時も、一人のお客さんが入店するなり「メニューに書いてないのは今日なにがあるの? 」と声をかけられているのを目撃しました。「メニュー、こんなにたくさんあるのに…」と思った私が成り行きを見守っていると、蒲原さんが顔色も変えずに「トンカツはできるよ」と答えられていてびっくり。後にお話を伺うと、アジフライ食べたいけどできる? など、できるときはリクエストに応えていると笑って話してくださいました。
 
注文の前に出されたお茶を飲んで待っていると、私が注文した「豚肉のポン酢炒め定食」（税込750円）が届きました。一目見て、わーー! とうれしくなるほどのボリュームたっぷりの野菜を使ったメインのおかず。それに副菜三品とお漬物に味噌汁がつき、お箸は箸置きに置かれていました。お隣に座られていた高齢の女性が「それは何? 美味しそうね」と声をかけてこられました。実は、その方が召し上がられていた鮭のホイル焼きを「美味しそうだな」と私はぼんやり思っていたので、多分お互いに心の中で「次はそれを頼もう」と考えていたかもしれません。実際にいただいてみて、どのおかずもひと手間かけられており、外食では取りにくい栄養をバランスよく美味しく摂られるありがたいお店だなと、つくづく感じました。
 
「お客さんにはお腹いっぱい食べてほしいし、美味しかったと言ってもらいたい。儲けをあまり考えてないのと、私はとにかく人に恵まれているからやっていけている」と言い切る蒲原さんの謙虚さと器の大きさを眩しく感じました。
 
お昼ご飯は人生の三分の一の食事だとすると、その時間が豊かになることは実はとても大事なことかもしれないなと、K1さんで改めて感じました。初めての方も常連さんも同じようにあたたかく迎えてもらえます。定食からカレーやうどんなどその日によってメニューも変わるそうで、何度も足を運びたくなるお店です。
 
豊かなお昼時間の選択肢にぜひK1を加えてみてください。
 
[INFORMATION]
K1　
☎なし
●佐賀市中央本町4-18
●営業時間／11:30〜14:00頃、19:00～
●定休日／不定（ランチは土・日曜、祝日休み）
●駐車場／なし
 

▲いろんな定食があります。全部リーズナブル!