街なかかわらばん佐賀

佐賀の街なかで自分らしく暮らす人㉛(デザインユニット 対対/tuii)

2021年5月14日


田中さん(左)伊藤さん(右)

田中さん(左)伊藤さん(右)

対対/tuiiのオフィス。まさに対になっています

対対/tuiiのオフィス。まさに対になっています

「しろいしもり」のお米たち

「しろいしもり」のお米たち

デザインユニット 対対/tuii
田中 淳さん
伊藤 友紀さん

佐賀にある魅力的な“もの”を可視化し、広く伝えていく…

 
県庁通りにあるビル「徳久ビル」の3階に拠点を構えるデザインユニット「対対/tuii」。二人は単なるデザイナーという枠にとどまらず、このビル、そしてこの通りがワクワクした場所になるよう様々な動きをしています。今回は二人が普段進めている仕事やそこに込められた思い、地域に対しての考えなどについてお話を伺いました。
 
― まず、対対/tuiiのデザインに対する向き合い方について

田中:私達はデザインをするうえで、お客さんのことをより知りたいと思っています。そこには課題やお客様が見えていない魅力がたくさんあると思っていて、特に佐賀みたいな地方だと、住んでいる人にとっては当たり前の価値、例えば美味しい野菜とか広い空とか。そういうものってすごい価値だったりするので、それを見つけ、掘り起こして、伝えていきたいと思っています。そのためには、まずデザインの作業をする前に言葉や絵などでお客さんの頭の中にあるものを可視化させることが大事。その方がどういうお考えなのか? とか、どういう未来を描いているのか? とか、あとその土地の歴史を詳しく調べたりします。数か月かけて。結果として、お客さんとの共有感が増し、デザインのアウトプットが良くなると考えています。
 
伊藤:そうですね。まずコンセプトや「ものがたり」づくり、ブランドストーリーを構築していきますよね。最初に世界観を膨らませるので、ぶれないし進めやすい。例の一つが、お米農家さんであり、海苔漁師でもある白石の方とのお仕事ですね。
 
田中:このお客さんは「しろいしもり」というブランドでお米や海苔を作ってらっしゃって、それらを使った「おむすび」を作りたいという話でした。当初は、単におむすびの商品パッケージを作って欲しいという依頼だったんですが、お話を聞いているうちに思い描かれている未来は違うんじゃないか? という話になってきて、今となってはパッケージだけでなく、WEB制作、そして今後の店舗展開も一緒に考えさせてもらえるようになりました。こういうお客様とのやりとりが、対対/tuiiの仕事の特徴なんだと思います。
 
― なぜユニットを組もうと思ったのですか?

伊藤:一緒にやると互いに見えていなかったものが見えるようになりますし、プラスの視点が加わりますよね。
 
田中:僕とは違う視点、柔らかい表現やタッチ、お客さんとの接し方など、伊藤さんが自分とは異なる角度から仕事に向き合っていく方だったからです。それに対して僕はモノ自体へ向き合っていく、モノへのこだわりが強いタイプだったんですよ。違うからこそ一緒にやってみたいなと思いました。表現の手段とか、互いの性質は全然違うのですが、そんな二人が、それこそ対になって向き合いエネルギーをかけていると、ふと新しいものが生まれてくるという実感があります。
 
― このビルを選んだ理由、そして県庁通りエリアに対しての思い

田中:この場所を選んだのは、このビルが可愛かったから。ポテンシャルがめちゃくちゃ高いな、存続しようとするエネルギーが溢れているなと。まだ生きたいというビルの声を感じたんです。いろいろ歩いてこの建物に一番魅力を感じたんです。
 
伊藤:私は山に住みたいと思っていたほどだったので、街で仕事をするとはそんなに思っていなかったのですが、実際やってみたらだんだんと愛着がわいてきました。近くを歩いて楠がいっぱいあったりとか、松原川を歩いたりとか。小さいお店があったりとか。街が好きになってきました。
 
田中:あと、実はこの県庁通りエリアに近い将来いろんな方が集まりつつある動きがあります。この二、三年くらいでこの辺りが変わってくるんじゃないでしょうか。やはりこの通りや松原川沿いというのは、文化・歴史がもたらす豊かさという点で、中央大通りとは違った魅力があると思います。
 
― 今後の展開について

田中:佐賀には魅力的なものがいっぱい眠っているので、それを見つけ、可視化して、伝え続けていきたいと思います。佐賀を中心に関東から東北まで、大小15〜20くらいのプロジェクトが進行中ですが、「食」に関係する方が多いんですよ。お米、海苔、いちご、鯛、たまご、お菓子、お肉など。美しいデザインを提案するのは当然ですが、対対/tuiiではデザインをする前段階のリサーチ、デザイン後のお店選びなどの展開までを一つのデザインワークととらえてプロジェクトを進めます。
 
伊藤:「知りたい」・「伝えたい」という思いがお客さんと話しをするときも根底にありますね。そこにある問題解決、場合によっては問題提起をして本質に切り込んでいく感じです。将来的にはこのエリアに、対対/tuiiがお手伝いさせていただいた「佐賀のいいもの」が集まったショップができていったらなとも考えています。佐賀の食やいいものが集まった商店街みたいな。こういう動きに繋げていければいいですね。
(聞き手:庄野 雄輔)
 
[INFORMATION]
デザインユニット対対/tuii(つい)
●佐賀市松原1丁目3-15 徳久ビル3F
https://www.instagram.com/tuii_info
 

▲徳久ビル
 
(PROFILE)
田中 淳/佐賀県小城市出身。高校卒業後に上京。8年間、㈱ TIN PAN ALLEYに在籍。その後建築学科にて建築を学びアトリエ設計事務所勤務、そしてCG制作会社にてグラフィックデザインのフィールドで活躍。その後2015年に地元に帰郷し、4年ほどフリーランスとして活動。2019年9月に佐賀市内に拠点を構え、2020年4月に徳久ビル(佐賀市松原)でデザインユニット対対/tuiiをスタートして今に至る。
 
伊藤 友紀/佐賀県神埼市出身。関西の大学を卒業後、大阪の印刷会社やコンサルタント会社でWEBデザインやイラスト制作等の仕事を経験した後、2010年に帰郷。その後地元の新聞社や家具メーカーで取材、編集、商品プロモーション、ブランディング等に従事。その後5年ほど前に独立してHONOTA designとして活動。2020年4月、徳久ビル(佐賀市松原)でデザインユニット対対/tuiiをスタートして今に至る。
 

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市民ライタープロフィール

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氏名:庄野 雄輔

街なかの愛の伝道師&街なかかわらばん佐賀の編集長

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