街なかかわらばん佐賀

佐賀の街なかで自分らしく暮らす人㉘(塚原 功さん)

2020年11月13日


塚原氏

塚原氏

地域空家円卓会議の様子

地域空家円卓会議の様子

唐人町にある「まちなかオフィスTOJIN館」

唐人町にある「まちなかオフィスTOJIN館」

塚原 功さん
NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA
代表理事 

空家問題というのは、ご本人だけでなく地域の課題でもあるのです

 
(PROFILE)
佐賀県出身。大学入学で上京し卒業後は佐賀で大手ハウスメーカーに入社。その後資産・土地活用メーカーやハウスビルダーでの勤務経て、大手のディベロッパーの仕事に携わる。そして今から6年ほど前に帰佐し、それまでの経験をいかして、2016年「NPO法人 空家・空地活用サポートSAGA」を設立。。
 
-まずはこれまでの活動について教えてください。

私が代表を務める「空家・空地活用活用サポートSAGA」は2016年の5月に設立し、今年で5年目に入ります。これまでの主な活動としては、まず「空き家対策プラットフォーム」と言って、士業さんを中心とした空き家問題を解決するエキスパート集団のネットワークをつくり、そこで個別案件のコンサル業務を行ってきました。そしてその後、空家の所有者と、空家を安く借りて活用したいと考える人のマッチングをするようになりました。その一つが社会的弱者の居住支援です。これはスムーズに賃貸物件を借りることができない可能性がある方々、例えば独居の高齢者の方や生活保護受給の方、外国人の方やひとり親家庭の方など、そういった方々と空家所有者とのマッチングです。またそのようなことをやりながら、シェアハウスやシェアオフィスなど、自分達で物件の利活用をするようにもなっていきました。
 
-今まで運用してきたシェアハウスについて。

最初にシェアハウスとして手掛けた物件は、佐賀大学の近くの本庄地区にあります。ここは元々留学生の入居を想定して、本格的に国の助成金を使って改修しようとしていた物件だったのですが、建築基準法の絡みで工事費用が予想以上にかかることが判明し、断念。結局簡単な改修や補強にとどめて使っていました。そんな中、その物件を活用したいと願う学生さん達との出会いをきっかけに、今年の9月から彼らにお貸ししています。今後は彼ら自身がここにシェアハウスやコミュニティスペース、カフェやギャラリー等を作っていく予定で、私としてもその事業のお手伝いもしていこうかなと思います。
 
そして二つ目の事例。佐賀女子短期大学の近くのシェアハウスです。ここは元々物件所有者さんから空き家相談があった建物なんですが、最初は壊したほうが良いという状態でした。しかし改めて調べてみると外観ほど内装は朽ちておらず、何とかなりそうという結論になりました。そして同時に佐賀女子短期大学の留学生に入居の需要があることがわかったので、ならば女子短の学生さんや佐賀大学の学生さん達も巻き込んで、シェアハウスのプランニングからワークショップ、DIYなど「みんなで楽しみながら」シェアハウスを作りあげようということになりました。あと留学生たちも母国への宣伝で協力してくれたので、無事入居者は決まっていたのですが…。新型コロナの影響で入国できないことなってしまいました。ただシャアハウス事業の可能性は実感することができました。
 
-物件の利活用について、その他の事例を教えてください

そうですね。街なかオフィスTOJIN館も利活用の例になればと思い、自分達で運用しました。新型コロナの影響で元々入居する予定だった団体さんのキャンセルがあり、最初はなかなか埋まっていなかったんですが、NPOの繋がりで紹介をしてもらったり、佐賀県が誘致したNPOさんに入ってもらったりして、現在はある程度埋まっています。スタートアップ的な施設ですね。特に市民活動団体が多く、家賃はあまり出せない場合が多いので、そういったところがちょうどいいのかなと思います。
 
-地域空家円卓会議というのはどういう会議ですか?

佐賀駅前から県庁までの中央大通りを何とかしたいという思い。これは多くの人が持っていらっしゃるのではないかと思います。それを進めるためのポイントは、行政主導ではなくまず「民間」から、あるいは「地域」から湧き上がってくるような意見や認識をみんなで共有することなんだと思います。もしかするとすごく良い考えやアイデアを持っている方がいらっしゃるかもしれないですしね。つまりこの会議は一方通行の伝達の場ではなく、いろんな意見を掘り起こす場、地権者の方々だけでなく、企業、地域の方、学識者、メディアの方、行政などいろいろな立場の方を巻き込めるような場なのです。「我がごと」ととらえて、何等かいい方法を考えていこう、みなさんにそういうスタンスになってほしいと思います。
 
そもそも空家問題というのは所有権が絡む要素が強くて、なかなか手を出しづらい問題ではあるんですが、実は本人さんだけの問題ではなく地域の課題でもあるんです。例えば、経済が伸びていた昔と違って、今はいったん古い建物を壊してしまうと新しく建て直すことが非常に難しい時代だと考えられます。だからそういう場合は、なるべく建物を残したままでの活用を提案します。そういったとき、物件所有者さんがすんなり動いていただける場合はいいんですけど、アクションを起こさない方や何も考えていらっしゃらない方、そういった方々が空家問題の解決にとって、一番ネックとなってくるんです。だからまずは円卓会議のような場のハードルを下げて、実際に参加していただいて意見を交わせたらと思います。ちなみに私が円卓会議でどういう立場で参加しているのかというと、まずは空家対策専門家としての論点提供者。そしてシャアハウス等、空家利活用の実践者。この二つの立場で毎回参加しています。やはり実践を伴って、自分達で経営をしているという立場を強調しながら、いろんな方からの相談を引き受けたいと思います。行政がお金を出してコンサルとして仕事があるときだけ参加するというのではなく、プレイヤーとしてどっぷりはまり、身銭を切りながら、円卓会議で出た意見を共有して次の活動、活性化に繋げていけたらと思います。(聞き手:庄野 雄輔) 

 
[INFORMATION]
空き店舗・空き家活用セミナー
●日時/12月22日(火)14:00~
●会場/佐賀商工ビル7F
●問合せ先/まちづくり機構ユマニテさが(☎0952-22-7340)
●講師/塚原 功氏
●主催/佐賀市、まちづくり機構ユマニテさが
 

 

▲シェアハウスリノベ前
 

▲シェアハウスのリノベ途中の様子
 


▲シェアハウスリノベ後

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氏名:庄野 雄輔

街なかの愛の伝道師&街なかかわらばん佐賀の編集長

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