街なかかわらばん佐賀

佐賀市・白山の中心地にある食堂「花咲耶（はなさくや）」は、2015年のオープン以来、地元の人々の胃袋を満たし続けてきた人気店です。看板に掲げるのは「旬の魚を、日々のごはんに」。その言葉どおり、毎朝仕入れる新鮮な魚介を使った料理が評判を呼んでいます。店主の田中さんは、以前より佐賀・諸富で魚屋を営んできました。時代の流れとともにお客さんがスーパーへ流れ、商売が厳しくなったことをきっかけに、魚の魅力をもっと身近に届けたいという思いのもと、この食堂を開店。今でも毎朝4時には市場へ向かい、自らの目で選んだ魚を仕入れる日々。仕入れた魚は行商として買い物に行けない高齢の方々の元へも届けられ、地域の暮らしを支える存在にもなっています。
 
新鮮な魚を自分の手で仕入れているからこそ、メニューはどれも驚くほどリーズナブル。定食の人気No.1は「塩サバ定食（刺身付き）」で、海鮮丼をおさえて堂々の一位。ランチは税込900円と手ごろな価格ながら、刺身も味噌汁もどれも新鮮そのもの。開店の11時30分には行列ができ、13時頃には完売してしまう日もあるそうです。お米も契約農家から直接仕入れたものを使用し、炊きたてごはんは1杯までおかわり無料という心配りもうれしい。定番以外にも、「炙りサーモン丼」は女性客に人気が高く、常連客の中にはメニューを上から順に制覇していくツワモノもいるそう。最近ではネットで評判を知った海外からの来店客も増えており、地元だけでなく観光客にも愛される店となっています。
 
今回、最初は人気の海鮮丼を頂こうと思ったのですが、お隣の席の方の刺身定食のエビの大きいこと! まぐろの新鮮さが見ただけで伝わってきました。思わず気持ちが変わり、刺身定食を注文。白いごはんの湯気とともに、艶やかな赤身と透き通る白身、ぷりっとしたエビが並ぶお皿に心が躍ります。まわりを見渡すと同じ定食を食べている方が多く、皆さんもそのおいしそうな様子に惹かれたのかもしれません。
店内は家庭的で温かみのある空間。昼時には近隣の会社員で賑わい、どこか懐かしさを感じさせる雰囲気が広がっています。魚屋として培った目利きと仕入れ力、そして「毎日のごはんをおいしく」というまっすぐな想いが詰まった一膳は、今日も誰かの心と体を満たしています。さらに、娘さんが手がける「えびフライ」のネット販売も人気を集めており、家庭でも「花咲耶」の味が楽しめると好評のようです。
 
10年という年月の中で、「花咲耶」は単なる食堂を超え、地域の暮らしを支える「魚のある日常」を提供する存在になっています。
 
[INFORMATION]
海鮮 花咲耶　
☎0952-29-0787
●佐賀市白山2丁目3-15
●営業時間／11:30〜13:30（なくなり次第終了）
●定休日／土、日曜
●駐車場／なし
●インスタグラム ＠hanasakuya888
 

▲白山アーケード内にあります