街なかかわらばん佐賀

街で自分らしく暮らす人㉙(笠原 徹さん)

2021年1月14日


笠原 徹さん
㈱ハレノヒ 代表 

お客さまの「肖像」・「人生」を撮る。

 
日本を代表するウエディングフォトグラファーの一人として、長年活躍している笠原徹さん。2015年に佐賀市柳町の「旧久富家」に写真館「Halenohi」をスタートさせ、2017年にはスタジオも兼ね備えた貸衣装店「Reminess(以後レミネス)」を呉服元町にオープン。そこで今回はそんな笠原さんが経営する「写真館」の位置づけに始まり、「撮る」ことに対してのスタンス、撮影に関連する事業のこと、そして最後に「街」に対するスタンス等についてインタビューしています。
 
-まず、柳町のスタジオの後に呉服元町にも拠点を設けたきっかけ、位置づけ等について教えてください。

きっかけは、まず元々白山にあったマインという貸衣装さんが、貸衣装の部門を閉めるということで、商品を引き継ぎ提供する場としてオープンすることになり、たまたまこのビルのプロジェクトが動いていたのでここで始めたというのがまず一つ目です。二つ目は当時柳町のスタジオが予約で手狭になってきていたので、もう一つ拠点を増やす必要があったこと。そして三つ目は「街における役割」です。以前から七五三やお宮参りなどでは佐嘉神社を利用される方も多かったと思うのですが、神社と柳町の間、今までは車で移動していたと思います。ただ呉服元町にも拠点を構えることで、例えばレミネスで衣装を借りていただいて、柳町のスタジオで撮影をして、佐嘉神社でお参りをするという流れ。その距離って歩けない距離ではないので、街に人を歩かせるポジションとして悪くないなと思いました。「新しいお店ができているな」「656広場で何かイベントやっているな」「昔買ったかもしれないお饅頭屋さんがまだあるな」「昔来たなあ。ここは何のビルだったっけ?」など、そういう風に感じ歩いていただくことで街を知ってもらえるきっかけになるかもしれません。
 
- 写真を撮る際に、特に意識していることは?

基本的に写真もそうですが、家族や個人は一人一人違います。私は撮影を「取材」だと思っていて、お客さんの背景を理解することによって、そこにある関係性だったり、性格に合ったアプローチだったりを意識しながら、二次元としてつくりあげます。そしてそこでは結果ではなく「結果へのアプローチ」を重視。つまり写真を通して自分や家族を振り返り、見つめなおせる場所、それが「写真館」だということです。最近はビジュアル作りをメインとした、いわゆる「映え」を重視する写真館が多いですが、昔は違っていて「肖像」・「人生」を撮っていたわけです。それがいつのまにかそれがお金重視で工場みたいになっちゃって・・。だからもう一度立ち返ってその価値を大事にしています。それとそもそも写真館という場所の他にない機能というのは、家族単位の場所に他人が関わってくるということなんです。自分や家族のことを他人に聞かれるという他にないサービス。私自身はおせっかいというのか親切というのかわからないですが、限界まで相手に関わることを大事にしています。ただ撮影という機能を提供するだけだと、それは機械でいいわけであって、人間と人間が触れ合うことによってしか価値が生まれてこないという風に考えると、いかに踏み込んでいけるか。写真はただのきっかけ、その言い訳にすぎないわけです。
 
― ウエディングへの新型コロナウイルスの影響について教えて下さい。

世の中がどのような状態でも結婚式は人生の節目であることは変わりません。今はどうしても他人を集めて危険に晒してしまうかもしれない可能性があるというところで延期や断念をされる方が増えていますが、違う側面から見ると「自分たちにとって結婚式ってなんだろうか? どのような優先順位で節目を喜んだり祝ったりするのが良いのだろうか?」と考えるきっかけにもなっていると思います。その流れから今後は多様な結婚式のあり方、結婚という節目の迎え方がうまれるだろうと思いますが、それでもウエディングシーンは無くならないし、我が子や友人を祝福し、家族に感謝するという本質は残ると思っています。兎にも角にも結婚(式)という場に、多くの人の笑顔が戻ってきて欲しいと考えています。

 
― 著書「地方でクリエイティブな仕事をする」(玄光社)を出版された狙いは?

私はクリエイターの力をもっと必要としている地方と、都会の中で自分の力を発揮できていないクリエイターを結びつける必要があると考えていて、そこがマッチングするまでの壁の一つに「地方でクリエイティブな仕事をして果たして本当に生きていけるのだろうか?」というものがあり、その解決や後押しのヒントになれば良いと思い書きました。またマーケティングなどに弱いクリエイターは多いので、初心者でも入りやすい入門書のような意味合いもあります。
 
― 今後この街でどうありたいですか? 展望も含めて。

僕らが街をリードするというよりは、街には街のプレイヤーが他にもいるので、それぞれが普通にできることで人に歩いてもらう。事業の一連の中の活動が自然と街のためになること、それが一番無理なくできることじゃないかと思います。まあ、街のなかではあくまでも要素の一つとして捉えてもらえればいいんじゃないかと思います。(聞き手:庄野 雄輔) 
 


▲笠原さんの著書「地方でクリエイティブな仕事をする」(玄光社)
 
[INFORMATION]
Halenohi呉服元町店 & Reminess
☎0952-37-1772
●佐賀市呉服元町2-18-2F
●営業時間/10:00~18:00
●定休日/月曜
●駐車場/あり(場所は要問合せ)

 

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市民ライタープロフィール

氏名:庄野 雄輔

街なかの愛の伝道師&街なかかわらばん佐賀の編集長

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